職場で仲良くなりたいときの対処法|関心を向けられた相手は、関心を返す

上司・職場の人間関係

先輩とも、上司とも、同僚とも、後輩とも、もっと仲良くなりたい。チームの雰囲気を良くしたいし、仕事も円滑に進められるようになりたい。そう思っているのに、いざとなると何をすればいいのかわからず、気持ちだけが空回りしていませんか。

私にも、その時期がありました。新しい職場に入ったばかりの頃です。雑談どころか、仕事の話ですら聞きづらい——そんな距離のある関係からのスタートでした。

「何を話せばいいかわからない」「仲良くなろうとして空回りしそう」「自分なんかが踏み込んでいいのかな」――そんな不安があると、一歩を踏み出しづらいですよね。でも実は、特別な話術やイベントは必要ありません。相手の関心にほんの少し関心を持つだけで、「これなら自然にできそう」と思える関係の築き方があります。

相手が話したことを一つだけ覚えておく

やることはシンプルです。雑談や会話の中で相手が話した内容を一つだけ覚えておき、次に会ったときにその話を振ってみてください。

例えば「週末に子どもの運動会があるんです」と聞いたら、次に会ったときに「運動会、どうでしたか」と一言添える。「今のプロジェクト、A社との調整が大変で」と聞いたら、次に「A社の件、その後落ち着きましたか」と聞いてみる。内容は大きなことでなくて構いません。相手の関心事を一つ覚えておく、それだけで関係の質が変わります。

関心を持たれた側は、自然と心を開く

理由①:好意の返報性

心理学に「好意の返報性」という原理があります。人は、自分に関心を持ってくれた相手に対して、自然と好意を持ちやすくなるというものです。

「この前のこと、覚えていてくれたんだ」と感じた瞬間、相手はあなたに対して心を開きやすくなります。特別なことをしなくても、覚えていて話を振るという小さな行動だけで、相手の中でのあなたの印象は大きく変わるのです。

理由②:デール・カーネギーの言葉

『人を動かす』の著者デール・カーネギーはこう言っています。「人に関心を寄せることによって得られる友人の数は、人に関心を持ってもらおうとして得られる友人の数よりずっと多い」。

仲良くなりたいと思うとき、私たちはつい「自分をどう見せるか」「どう話せば好かれるか」を考えてしまいます。しかし本当に関係を築く近道は、自分に注目を集めることではなく、相手に関心を向けることなのです。

理由③:小さな変化に気づけるアンテナが立つ

相手の関心事を覚えておく習慣がつくと、その延長で相手の小さな変化にも自然と気づけるようになります。

いつも子どもの話を楽しそうにする先輩が、ある日その話題に触れなくなったら、「何かあったのかな」と気づけるかもしれません。仕事の話を熱心にしていた同僚が、急に口数が減ったら、それも一つのサインです。相手に関心を持ち続けることは、困っていることをキャッチするアンテナを立てることでもあるのです。

私の場合|「前回の話のその後」を聞くだけで、距離が縮まった

新しい職場で私がやっていたのは、まさにこの記事の方法でした。

相手と次に話すタイミングで、前回相手が話していた内容の「結果」や「その後」を聞くのです。話題は何でもよくて、私の場合は相手の仕事の話、家族の話、趣味の話でした。仕事の案件なら「あの件、その後どうなりました?」、趣味なら「この前の〇〇、行けたんですか?」という具合です。

この方法の良いところは、話題を自分で用意しなくていいことです。前回の相手の話が、そのまま次の会話のきっかけになる。人見知りでも、話術がなくても、「覚えておく」だけならできます。

続けていくと、関係は目に見えて変わりました。仕事の相談も、雑談も、しやすくなったのです。仕事の話すら聞きづらかった相手と、気づけば普通に話せるようになっていました。距離を縮めてくれたのは、面白い話でも飲み会でもなく、「前回の話を覚えていた」という小さな事実でした。

給湯室で、目を泳がせなくなる

想像してみてください。

今のあなたは、給湯室で同僚と二人きりになって、目を泳がせています。

「……何を話せばいいんだろう」

結局、会釈だけしてすれ違う。仕事で確認したいことがあっても、手が止まります。

「この関係で聞くのは、ちょっと聞きづらいな……」

でも、相手の話を一つ覚えておけるようになったあなたは、違います。

すれ違いざまに、自然に声が出ます。

「そういえば、この前おっしゃってたA社の件、その後どうなりました?」

「あ、聞いてくれます? あれね、なんとか落ち着いたんですよ」

会話が続きます。別の日には、趣味の話も振ってみます。

「この前の釣り、行けたんですか?」

「行ってきましたよ! いやあ、大物が——」

気づけば、仕事の確認もそのついでに自然にできるようになっている。「何を話せばいいかわからない」という不安は消え、先輩からも上司からも同僚からも後輩からも、話しかけやすい人として頼られる存在に変わっていきます。

関心を向けられた相手は、関心を返す

職場で仲良くなりたいときは、相手が話した内容を一つだけ覚えておき、次に会ったときにその話を振ってみてください。関心を向けられた相手は、自然とあなたにも関心を持ち始めます。特別なことをしなくても、覚えておくという小さな習慣から、良い関係は築いていけます。

参考文献

  • Gouldner, A. W. (1960). The norm of reciprocity: A preliminary statement. American Sociological Review, 25(2), 161–178. doi:10.2307/2092623
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