上司に相談できないときの対処法|話しかける前に、1分でまとめる

上司・職場の人間関係

「上司が忙しそうで話しかけられないのに、報連相できてないって怒られる」

「勇気を出して声をかけたら、『今それどころじゃない』って一蹴された」

「そもそも何を話しかければいいかわからなくて、タイミングを逃し続けてる」

「自分から動けない自分が情けない…」

「もしかして、自分はコミュニケーションが苦手なのかな」

相談したいのに相談できない。でも、相談しないと仕事が進まない。
この板挟みが続くと、やがて「自分はダメな社員なんだ」と自分を責め始めてしまいます。

何を隠そう、私自身がそうでした。以前の職場に、いつもピリピリしていて、常に忙しそうな上司がいました。用件が何かという以前に、話しかけること自体がハードルだったのです。

あるとき、仕事の不明点を確認できないまま、仕方なく自分の判断で進めたことがあります。結果は、方針違い。しかも上司には成果物を確認する時間もなく、ようやく見てもらえたのは納期ギリギリ。そこから残りわずかな時間で作り直すことになり、本当に辛い思いをしました。

「あのとき確認できていれば」と何度も思いました。でも当時は「今聞いたら迷惑だよな」と迷っているうちに時間だけが過ぎて、仕事は止まったまま。あの頃は本気で「自分はダメな社員だ」と思っていました。

でも、それは違います。

問題はあなたのコミュニケーション能力ではなく、「相談の仕方」を誰も教えてくれなかっただけです。

今日は一つだけ、やり方を変えてみてください。

話しかける前に「1分でまとめる」だけでいい

「そんな簡単なことで変わるの?」

そう思うかもしれません。でも、これには理由があります。

理由① 上司が「忙しい」のは、あなたのせいではない

忙しい上司が「今それどころじゃない」と言うのは、あなたを拒絶しているのではなく、処理できる情報量が限界に近いからです。

そこに「ちょっといいですか?」と整理されていない相談を持ち込むと、上司の脳にとっては負荷でしかありません。

逆に言えば、相談の「準備」を整えてから行くだけで、上司の反応は変わります。

話す前に以下の3点を30秒でメモするだけで十分です。

  • 状況:何が起きているか
  • 困っていること:何がわからないか
  • 自分の考え:自分ではどうしようと思っているか

理由② 「準備した相談」は、信頼につながる

経営学者ピーター・ドラッカーはこう言っています。

「コミュニケーションで最も大切なのは、相手が言わなかったことを聞くことである」

上司が本当に求めているのは、「この人は自分で考えてから来ている」という安心感です。

まとめてから相談に来る人は、上司から見て「頼れる存在」に映ります。
逆に、まとまっていない相談は、「また整理できていない」という印象を積み重ねてしまいます。

1分の準備が、あなたへの信頼を少しずつ変えていきます。

理由③ 小さな成功体験が、相談することへの恐怖を消す

「また一蹴されたらどうしよう」という恐怖は、過去の失敗体験から来ています。

心理学では、小さな成功体験を積み重ねることで、行動への恐怖は薄れていくことが知られています(バンデューラの「自己効力感」理論)。

準備して相談した結果、上司がちゃんと聞いてくれた。

その小さな成功が、次に話しかけるハードルを下げます。最初の一回を変えるだけで、そのあとの流れは変わっていきます。

私が実際にやっていた「1分のまとめ方」

参考までに、私がピリピリした上司に相談するとき、実際にやっていた準備を紹介します。

一つ目は、結論から話すこと。「〇〇の件で、△△か□□かで迷っています」と、最初の一言で相談の全体像を伝えます。

二つ目は、質問をYESかNOで答えられる形にしておくこと。「この方向で進めてよろしいですか?」と聞けば、上司は「うん」の一言で返せます。忙しい上司にとって、考え込まなくても即答できる質問は、負担がまったく違います。

三つ目は、答えがNOだった場合の代替案も用意しておくこと。「難しければ、こちらの方針で進めようと思いますが、いかがですか」と、すぐに二の矢を出せるようにしておくと、その場で方針が決まります。

上司は変わらなくても、自分の仕事は変わる

正直に言うと、私のあのピリピリした上司は、最後まで変わりませんでした。仕事は年々忙しくなり、状況はむしろ悪くなるばかりでした。

それでも、私の仕事は確実に変わりました。

今でも覚えている場面があります。ある相談で、上司に「いや、それはダメだ」とNOを突きつけられた瞬間、準備していた代替案をその場で出しました。「では、こちらの方針で進めようと思いますが、いかがですか」。上司は少し考えて、「それでいい」。相談は数十秒で終わり、方針はその場で決まりました。

以前の私なら、NOと言われた時点で持ち帰り、また話しかけるタイミングを探すところから始めていたはずです。その間、仕事は止まったまま。あの数十秒で決まったとき、「準備しておいてよかった」と心から思いました。

準備がある分、何を言われても切り返せる。それが分かっているだけで、話しかけるときの気持ちは驚くほど楽になります。「傷つく覚悟」で話しかけていた頃とは、明らかに違う感覚です。

上司から早めに判断をもらえるようになると、仕事のスピードは目に見えて上がります。私の場合、一番辛かった「方針違いで納期ギリギリに作り直し」というパターンが、これでなくなりました。

上司は変えられません。でも、1分の準備で、あなたの毎日の仕事は変えられます。

やり方を一つ変えるだけで、状況は動く

忙しい上司に相談できないのは、あなたの勇気が足りないのではありません。

やり方を一つ変えるだけで、状況は動き始めます。

今日、上司に相談するときは、まず30秒だけ手を止めて「状況・困っていること・自分の考え」をメモしてから行ってみてください。

その30秒が、あなたと上司の関係を少しずつ変えていきます。

参考文献

  • Drucker, P. F. (1966). The Effective Executive. Harper & Row.(邦訳『プロフェッショナルの条件』ダイヤモンド社)
  • Bandura, A. (1977). Self-efficacy: Toward a unifying theory of behavioral change. Psychological Review, 84(2), 191–215. doi:10.1037/0033-295X.84.2.191
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