気づけば自分だけ違う仕事をしていて、周りとの会話も少ない。頑張っているつもりなのに、誰にも認めてもらえていない気がする。チームの中にいるはずなのに、一人だけ違う場所にいるような感覚になっていませんか。
私にも、その感覚に沈んでいた時期があります。周りは忙しいのに、私の手元の仕事はどんどん減っていき、会話も減っていく。チームの中にいるのに、自分だけ透明になっていくような感覚でした。
「自分だけ違う仕事」「会話が少ない」「承認されていない気がする」――そんな感覚が積み重なると、チームの中にいながら孤立しているように感じてしまいます。でも実は、大きな変化を起こさなくても、「これなら自分から動けそう」と思える小さな一歩があります。
その日やったことを、一言だけ共有する
やることはシンプルです。その日やったことを一言、周りに共有する習慣を作ってみてください。
終業時に「今日は〇〇の資料を進めました」、朝なら「今日はここまで終わらせる予定です」と一言添えるだけでいい。チャットでもいいし、口頭でも構いません。大きな報告である必要はなく、「自分は今こういう動きをしている」ということが周りに伝わればそれで十分です。
会話の中身より、まず接触の回数が効く
理由①:ザイアンス効果
心理学に「ザイアンス効果(単純接触効果)」という考え方があります。人は接触する回数が増えるほど、相手に対して自然と好感や親近感を持ちやすくなるというものです。
会話の中身よりも、まず接触の回数を増やすことが効果的です。一言の共有であっても、それが毎日積み重なれば、周囲の中であなたの存在感は少しずつ変わっていきます。
理由②:愛の反対は無関心
マザー・テレサはこう言ったとされています。「愛の反対は憎しみではなく、無関心である」。
孤立感の正体は、多くの場合、対立ではありません。誰かに嫌われているわけではなく、ただ「見られていない」と感じることが、孤立感を生み出しているのです。だからこそ、自分から一言発信して「見える存在」になることが、孤立感を和らげる一番の近道になります。
理由③:承認は見えている行動にしか起きない
どれだけ頑張っていても、その頑張りが周囲から見えていなければ、承認されようがありません。承認は、あくまで「見えている行動」に対して起こるものだからです。
何も共有しなければ、あなたの努力は誰の目にも触れないまま終わってしまいます。逆に一言でも共有すれば、それが承認される機会そのものを生み出すきっかけになります。
私の場合|「報告」はしていたのに、孤立感は消えなかった
正直に書くと、私はこの解決策を、当時ちゃんとできていませんでした。
発信をしていなかったわけではありません。手戻りや二重作業を防ぐために、「この作業、やっておきます」という報告は随時していました。でも、コミュニケーションの量は増えませんでした。むしろ減っていくことさえあった。「見てもらえていない」という感覚は、最後まで消えませんでした。
今振り返るとわかります。私がしていたのは「業務連絡」であって、「共有」ではなかったのです。用件だけを伝える連絡は、済んでしまえばそこで会話が終わります。そこに「私は今日、こう動いた」という、人に向けた一言があれば、返ってくるものは違ったはずです。
孤立感は、気にならなくなる時期もありました。でも、再び強く感じたとき、どうしようもない感じに包まれて——私は最終的に、転職という形で環境ごと変えることを選びました。「自分を変えるには、住む場所を変える、働く場所を変える、会う人を変えるのがいい」と言われます。実際、それは効きました。
でも、環境を変えるのは最後の手段です。その前に試せる小さな一歩が、この記事の「一言の共有」です。私は試さないまま職場を離れました。だからこそ、あなたには先にこちらを試してほしいのです。
「誰も自分が何をやってるか知らない」が変わる
——今までのあなた
今日も、必要な連絡だけして一日が終わる。
「〇〇の件、対応しておきました」「了解です」
やり取りはそれだけ。チャットの画面を閉じると、静かな席に戻る。
「(誰も、私が何をやってるか知らないんだろうな……)」
頑張っても頑張らなくても誰にも気づかれない気がして、力の入れ方がわからなくなっていく。
——一言の共有を始めた、これからのあなた
終業前に、一言だけチームに送る。
「今日は〇〇の資料、半分まで進みました。明日仕上げます」
最初は反応がないかもしれません。それでも続けていると、ある日ぽつりと返ってくる。
「あれ助かったよ」「そこ苦戦してるなら手伝おうか?」
会話のきっかけが少しずつ増えて、「今何をしているか分かる人」になっていく。
「(ちゃんと見えてるんだな。私は、ここにいていいんだな)」
チームの中に自分の居場所が戻ってくる感覚は、その小さな一言から始まります。
見えていない頑張りは、承認されない
チームで孤立していると感じるときは、その日やったことを一言、周りに共有してみてください。接触の回数が増えるほど、周囲との距離は自然と縮まります。見えていない頑張りは承認されません。小さな一言から、チームの中での自分の存在を取り戻していきましょう。
参考文献
- Zajonc, R. B. (1968). Attitudinal effects of mere exposure. Journal of Personality and Social Psychology, 9(2, Pt.2), 1–27. doi:10.1037/h0025848

