上司に話しかけるタイミングがわからないときの対処法|その場の空気で、判断しない

上司・職場の人間関係

「今……は忙しそうだな。もう少し後にしよう」

「電話が終わった。今だ……と思ったら、また次の会議に行ってしまった」

「気づけば夕方。今日も話しかけられずに終わった」

上司に話しかけるタイミングをうかがうだけで、一日が終わってしまう。
その間、仕事は止まったまま。「なんで自分は、こんなこともできないんだろう」と落ち込んでしまう人も多いはずです。

でも、タイミングがつかめないのは、あなたの度胸の問題ではありません。

上司の「話しかけやすい時間帯」を知らないまま、毎回その場の空気だけで判断しようとしているからです。

今日は一つだけ、やり方を変えてみてください。

3日間だけ観察して「話しかけやすい時間帯」を2つ見つけるだけでいい

やることはシンプルです。3日間だけ、上司の一日の動きをそれとなく観察して、比較的余裕がありそうな時間帯を2つメモしておく。

例えば――

  • 朝のメールチェックが終わった、9時半ごろ
  • 昼休みから戻って一息ついた、13時すぎ

実は、これは私自身が救われた方法です。

若手の頃の私の上司は、いつも忙しく、正直に言えば機嫌が悪そうに見えることも多い人でした。タイミングを読み違えて話しかけては、そっけない返事にへこむ。そんな嫌な思いを何度もしました。

それでも仕事を止めるわけにはいかないので、日々観察するしかなかった。「この時間は電話が多い」「この会議のあとは少し余裕がありそうだ」と、失敗しながら少しずつ見えてきたのが、この「話しかけやすい時間帯」でした。見つけてからは、話しかける前の憂鬱が明らかに軽くなったのを覚えています。

時間帯とあわせて、私がもう一つ見ていたのが、その瞬間の「サイン」です。

資料やメールの返信でキーボードを打っているときは、集中している最中なので避ける。逆に、画面をただ眺めているときや、他の人との話が終わった直後は、頭が切り替わるすき間なので、話しかけても嫌がられにくい。

「話しかけやすい時間帯」で大きくアタリをつけて、最後は目の前のサインで確かめる。この二段構えにしてからは、タイミングを読み違えて嫌な思いをすることが、目に見えて減りました。

「観察したくらいで変わるの?」

そう思うかもしれません。でも、これには理由があります。

理由① 同じ相談でも、時間帯で「返ってくる答え」が変わる

心理学者シャイ・ダンジガーがイスラエルの裁判官を対象に行った、有名な研究があります。同じような案件でも裁判官の判断は時間帯によって大きく変わり、休憩の直後には好意的な判断が増えたのです。

人の判断力や心の余裕は、一日の中で大きく上下します。それは上司も同じです。疲れて余裕のない時間帯に相談すれば「後にして」と返され、余裕のある時間帯なら、同じ相談でも丁寧に聞いてもらえる。

つまりタイミングの見極めは、相談の「成功率」そのものを変えるのです。

理由② 相手を知ることは、最強の準備になる

孫子の兵法に、こんな言葉があります。

「彼を知り己を知れば、百戦殆うからず」

相手を知ることは、あらゆる場面で成功率を上げる、最短の準備です。

上司の一日のリズム――朝一番に何をするか、どの会議の後に席へ戻るか、いつコーヒーを取りに立つか。たった3日の観察でも、パターンは驚くほど見えてきます。それを知っているだけで、あなたは「なんとなく」ではなく「根拠を持って」話しかけられるようになります。

理由③ 「今行くべきか」と迷う時間が消える

タイミングが分からないことの一番の損失は、実は相談できないことではありません。「今かな……いや、まだかな」と迷い続けている間、あなた自身の仕事も手につかなくなることです。

「9時半と13時すぎなら大丈夫」と決まっていれば、それ以外の時間は迷わず自分の仕事に集中できます。話しかけるタイミングを「その場の判断」から「事前のルール」に変えるだけで、あなたの一日から迷いの時間が消えるのです。

「比較的マシな時間帯」が2つあれば足りる

「でも、観察したって、忙しそうなのは変わらないかも」

そう思うかもしれません。それでも大丈夫です。完璧なタイミングを探す必要はなく、「比較的マシな時間帯」が2つ見つかれば十分です。

時間帯を見つけたあなたは、朝の時点で「今日は9時半に聞こう」と決めて、それまで自分の仕事に集中しています。

一日中様子をうかがっていたころと比べて、相談は早く片づき、仕事も進む。上司からも「いいタイミングで聞きに来てくれる」と、むしろ信頼されるようになっていきます。

私自身、この方法で疑問点を早めに確認できるようになってから、仕事のスピードが目に見えて上がりました。以前は、聞けないまま自己判断で進めて、あとから方針違いが発覚してやり直す——そんな悪循環に苦しんでいましたが、それがなくなったのです。

その場の空気で、判断しない

上司に話しかけられないのは、勇気が足りないからではありません。話しかけやすい時間帯を知らないまま、毎回その場の空気で判断しようとしていたからです。

明日からの3日間、上司の一日の動きをそれとなく観察して、余裕のありそうな時間帯を2つ見つけてみてください。

その2つの時間帯が、あなたの「話しかけられない」を「いつでも聞ける」に変えてくれます。

参考文献

  • Danziger, S., Levav, J., & Avnaim-Pesso, L. (2011). Extraneous factors in judicial decisions. PNAS, 108(17), 6889–6892. doi:10.1073/pnas.1018033108
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