同期の活躍を見ると、素直に喜べない自分がいる。「あの子はどんどん成長しているのに、自分は何も変わっていない」――そう感じるたびに、焦りと自己嫌悪が同時に押し寄せてきませんか。
私にもその感覚はありました。同期の活躍を聞いて「やばいな、負けてるな」と焦ったことは、一度や二度ではありません。
「同期は成長していて、できることが増えてる」「自分は劣っているんじゃないか」。比較すること自体をやめられれば楽ですが、それは簡単ではありません。でも実は、比較をやめる代わりに、「これなら比較を前向きに使えそう」と思える方法があります。
同期の「すごい」を、伸ばしたいスキルとして書き出す
やることはシンプルです。同期の「すごい」と感じる部分を書き出し、それを「妬む対象」ではなく「自分が次に伸ばしたいスキル」として位置づけ直してください。
例えば「あの人は会議で的確に発言していてすごい」と感じたら、それは「論理的に発言する力を伸ばしたい」という自分の願望のサインです。感情のまま「悔しい」で終わらせず、「じゃあ自分は何を伸ばせばいいのか」という具体的な行動目標に変換してみてください。
比較そのものではなく、比較したあとが分かれ目
理由①:上方比較
心理学には「上方比較」という概念があります。自分より優れた相手と比較する行為は、使い方次第でモチベーション源にもなれば、自己否定の源にもなるというものです。
比較そのものが悪いわけではありません。比較した後に何をするかが分かれ道なのです。「自分はダメだ」で止まるか、「あの人みたいになるには何が必要か」に進むか、その違いが結果を大きく左右します。
理由②:劣等感は成長の刺激剤になる
心理学者アルフレッド・アドラーが築いたアドラー心理学では、劣等感そのものは問題ではなく、それをどう活かすかが重要だと説かれています。
劣等感は、誰の中にも自然に生まれる感情です。それを押し殺したり、比較を避けたりするのではなく、「もっとこうなりたい」という前向きな努力のエネルギーに変えることができれば、劣等感は成長の原動力に変わります。
理由③:「すごい」は自分の願望を映すサイン
他人の「すごい」と感じる部分は、多くの場合、自分自身が本当は身につけたいと思っている能力を映し出しています。
そこに気づかず感情のまま流してしまうと、ただの自己否定で終わってしまいます。しかし言語化して「自分は何を伸ばしたいのか」まで落とし込めば、それは具体的な行動計画に変わります。焦りは、行き先を与えられたときに初めて力になるのです。
私の場合|「負けてる」の隣に、「でも、これは勝ってる」を置いた
ただ、当時の私は、焦りに飲み込まれきってはいませんでした。今になって理由を言葉にすると、比較を「全面対決」にしていなかったからだと思います。
同期のすごさを認める一方で、こうも思っていました。「分野が違う。あいつにできないことが、俺にはできる」。
負け惜しみに聞こえるかもしれません。でも、この「これは勝ってる」には根拠がありました。積み上げてきた仕事の実績と、取ってきた資格です。感覚ではなく、事実として「自分ができること」を持っていたから、同期のすごさを認めても、自分の全部が否定されるわけではなかったのです。
この記事の「書き出す」という解決策は、当時の私が頭の中で無意識にやっていたことを、紙の上で意識的にやる方法だと思っています。相手のすごさを言葉にすると、それが「自分の全否定」ではなく「一つのスキルの差」だと見えてくる。自分の強みも同じように言葉にすれば、焦りは「あれを伸ばそう」という具体的な行き先に変わります。
同期の活躍が、落ち込む材料でなくなる
——今までのあなた
「〇〇さん、もう一人で客先対応してるらしいよ」
そんな話を聞くたびに、心がざわつく。
「(やばいな……。自分、置いていかれてないか?)」
夜、布団の中で同期の活躍を思い返しては落ち込む。
「(あんなに活躍してるのに、自分は何やってるんだろう……)」
焦りだけが空回りして、何から手をつければいいかわからない。
——「すごい」を書き出した、これからのあなた
ノートに、同期のすごいと思う部分を書いてみる。
「会議で意見をはっきり言える」「資料がわかりやすい」
書き出して、気づきます。
「(……これ、全部『自分が身につけたいこと』のリストだ)」
そして、その隣に自分の側も書いてみる。
「(でも、〇〇の実務経験は自分の方が長い。資格も取った。ゼロじゃない)」
焦りが消えるわけではありません。でも、行き先ができます。
「(まずは、会議で最初に発言するところから始めよう)」
同期の活躍を「ニュース」として聞けるようになったとき、比較はもう、あなたを削る刃物ではなく、あなたを伸ばす道具になっています。
焦りに、行き先を与える
同期と比べて焦るときは、相手の「すごい」と感じる部分を、伸ばしたいスキルとして書き出してみてください。比較は、使い方次第で自己否定にも成長の原動力にもなります。焦りに行き先を与えることが、前に進む力になります。
参考文献
- Festinger, L. (1954). A theory of social comparison processes. Human Relations, 7(2), 117–140. doi:10.1177/001872675400700202

