数字には表れない、ちょっとした助け合いや気遣い。誰かの役に立てた瞬間はあっても、それは評価シートのどこにも載らない。そんなもどかしさを感じていませんか。
私自身、ヘルプに入ってフォローしても「ありがとう」の一言すらなく、当たり前のように扱われた経験があります。
「そんな小さなことまで記録するの、大げさかな」「数字にならないことは評価されないだろう」――そう思ってしまう気持ちもわかります。でも今から1年後の評価に備えるつもりで、小さな習慣を始めてみてください。「これなら小さな貢献も見える形にできそう」と思える方法です。
感謝された瞬間を、その場で書き留める
やることはシンプルです。誰かから「ありがとう」と言われたら、その場で一言だけメモに残してください。
「後輩の資料作成を手伝って感謝された」「他部署の質問に答えて助かったと言われた」――内容は小さなことで構いません。感謝された事実だけを、忘れないうちに書き留めることが目的です。
感謝された側の記録が、なぜ形に残るのか
理由①:感謝日記の応用
ポジティブ心理学者ロバート・エモンズの研究では、感謝の出来事を記録する習慣が、幸福感を高めることが示されています。
この記事で応用したいのは、自分が感謝した出来事ではなく、自分が感謝された出来事を記録するという視点です。他者から向けられた感謝の言葉は、あなたの貢献が確かに誰かの役に立ったという証拠そのものです。それを記録に残すことで、後から振り返れる資産になります。
理由②:真価を認められたいという渇望
心理学者ウィリアム・ジェイムズは、「人間の本性の中で最も深い欲求は、真価を認められたいという渇望である」と述べています。
数字にならない貢献は、認められる機会そのものが少なくなりがちです。だからこそ、感謝された瞬間という小さな認められた証拠を、自分自身でしっかり拾い上げておくことが大切なのです。
理由③:証拠は時間とともに失われる
数字にならない貢献は、時間が経つと本人からも忘れられてしまいます。感謝された瞬間も例外ではありません。
その場で書き留めておかなければ、「そんなこともあったかもしれない」という曖昧な記憶で終わってしまいます。感謝された瞬間という証拠がまだ鮮明なうちに記録すれば、後から「これも確かな貢献だった」と示せる材料になります。
私の場合|フォローしても「ありがとう」すらなく、当たり前のように扱われた
忙しそうな人のヘルプに入ったり、先回りして気を回してフォローしたり。私なりに、数字にならないところでチームを支えていたつもりでした。
でも実際には、「ありがとう」と言われるどころか、やってもらって当然という態度で接されました。当然、評価にそのフォローが載ることもありません。数字にもならず、感謝もされず、記録もしていない。その貢献は、どこにも残りませんでした。時間が経つと、自分自身でさえ「何をフォローしたか」を忘れていきました。
この経験から痛感したのは、数字にならない貢献は、黙っていると本当に「なかったこと」になる、ということです。だからこそ、誰かに感謝された瞬間は、貴重な証拠として必ずその場で書き留める。そして感謝されなかったフォローも、「今日は〇〇さんのヘルプに入った」と自分で残しておく。拾い上げる人が自分しかいないなら、自分で拾うしかないのです。
「特にこれと言える成果が」で止まらなくなる
何も記録しないまま過ごすと、こうなります。
ヘルプに入っても、当たり前の顔をされる。「あれだけフォローしたのにな……」と思っても、形に残っていないので誰にも見えません。評価面談では数字の話だけが進み、「今期は、特にこれと言える成果が……」と、自分でも自分の貢献を語れないまま終わってしまいます。
では、その場で書き留める習慣があったら、どうでしょうか。
「ありがとう、助かったよ」と言われた瞬間に、スマホへ一言。「他部署の質問対応で感謝された」。それだけで、消えるはずだった貢献が形に残ります。
評価面談では、「数字には出ていませんが、この時期に〇〇のフォローで感謝の言葉をいただきました」と具体的なエピソードで話せます。上司から「そんなところも支えてくれてたんだね」と返ってくることもあるでしょう。数字にならない働きこそ、記録があなたの代わりに証言してくれるのです。
数字にならない働きも、記録すれば証拠になる
数字にならない貢献が評価されないと感じるなら、感謝された瞬間をその場で書き留めてみてください。数字にならない働きも、記録すれば確かな証拠になります。1年後の評価に備えるつもりで、今日から積み重ねていきましょう。
参考文献
- Emmons, R. A., & McCullough, M. E. (2003). Counting blessings versus burdens: An experimental investigation of gratitude and subjective well-being in daily life. Journal of Personality and Social Psychology, 84(2), 377–389. doi:10.1037/0022-3514.84.2.377

