在宅勤務で仕事が暇なとき|罪悪感より先に、“次にやることリスト”を決めておく

仕事の進め方・タスク管理

在宅勤務中、ふと手が空く瞬間がある。

メールを返し終えた。会議も終わった。次のタスクの連絡はまだ来ない。画面の前で、何もすることがない。

オフィスなら、資料を整理するふりでもできる。誰かに話しかけられれば、それだけで時間が埋まる。でも家では、その”ふり”をする相手がいない。パソコンの前に座ったまま、時間だけが過ぎていく。

「サボってると思われてないか」。そう気にする人もいれば、特に何も感じず、ただ動画を見て過ごす人もいる。感じ方は人それぞれだ。ただ、どちらの場合でも共通しているのは、この空白の時間に「何をするか」を、その場で考えているということだ。

その場で考えるから、迷う。迷うから、なんとなく手が伸びるのはスマホになる。

暇になったらやることを、暇になる前に決めておく

やることは1つでいい。「議事録のテンプレートを整理する」でも、「次の会議の資料に目を通す」でも、「マニュアルの古い箇所を直す」でもいい。内容よりも大事なのは、空白の時間が来る前に、リストとして書き出しておくことだ。

その場で考えるのをやめて、あらかじめ決めておく。それだけで、空白の時間の過ごし方が変わる。

なぜ効くのか

理由①:在宅勤務では、業務量にムラが出やすい

パーソル総合研究所の調査によると、在宅勤務時の生産性は、出社時を100%とした場合で平均84.1%にとどまる(コロナ以前からテレワークを運用していた企業では89.4%、そうでない企業では82.2%)。生産性の実感が下がる背景には、オフィスのように隣の人の様子から仕事を拾えない、業務の波を周囲と共有しにくいといった事情がある。つまり、在宅では「手が空く時間」がそもそも生まれやすい構造になっている。

理由②:「決めておく」だけで、行動に移せる確率が上がる

心理学者ピーター・ゴルヴィツァーが提唱した「実行意図(if-thenプランニング)」という考え方がある。「もし〇〇になったら、△△をする」と事前に決めておくだけで、実際にその行動を取れる確率が上がるというものだ。Gollwitzer & Brandstätter(1997年)の研究では、大学生に休暇中に取り組む難しい目標を1つ決めてもらったところ、実行意図(いつ・どこでやるかを事前に決める方法)を使ったグループは62%が目標を達成したのに対し、使わなかったグループの達成率は22%にとどまった。この効果は、Gollwitzer & Sheeran(2006年)による94件の研究をまとめたメタ分析でも確認されている。「その場で考える」を「事前に決めておく」に変えるだけで、実行のハードルが下がる。

理由③:プロも、準備で”迷い”を消している

イチローはかつて、準備についてこう語っている。

準備というのは、言い訳の材料となり得るものを排除していく、そのために考え得るすべてのことをこなしていく、ということ。

Number Web(2016年1月25日)

トップ選手でさえ、本番で迷わないために、事前に準備を積み重ねている。空白の時間に何をするか迷うのも、根っこは同じだ。先に決めておけば、迷う時間そのものがなくなる。

その先にあるもの

——今までのあなた。

手が空くたびに、Slackを開いては閉じる。「何かしなきゃ」と思いながら、結局何もしないまま時間が過ぎていく。家族に「暇そうだね」と言われて、なんとなく気まずくなる。

——リストを先に作っておくようになった、これからのあなた。

手が空いたら、決めていたリストを開くだけでいい。「議事録のテンプレートを整理する」。ただそれだけを、淡々とやる。迷う時間がないから、気まずさもない。次に忙しくなったときのための時間として、静かに積み上がっていく。

今日からできること

次に手が空く前に、まず1つだけ書き出しておこう。「暇になったら、これをやる」。

内容は小さくていい。決めてあること自体が、あなたの空白の時間を変える。

周りが忙しいのに自分だけ暇な状況全般については仕事が暇すぎてつらい|その時間を味方にする過ごし方で書いています。手が空く時間そのものより、一人でいる孤独感のほうがつらいと感じる人は、リモートワークで孤独感を感じるなら、返信を求めない一言から始めるもあわせてどうぞ。

参考文献

パーソル総合研究所「コロナ禍とテレワークによる雇用・労働への影響について」(2021年1月19日発表)|記事

Gollwitzer, P. M., & Brandstätter, V. (1997). Implementation intentions and effective goal pursuit. Journal of Personality and Social Psychology, 73(1), 186-199.|PDF

Gollwitzer, P. M., & Sheeran, P. (2006). Implementation intentions and goal achievement: A meta-analytic review of effects and processes. Advances in Experimental Social Psychology, 38, 69-119.

イチロー選手の言葉|Number Web「[スポーツ名言集]」(2016年1月25日)|記事

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