仕事に行きたくない原因がわからないときの対処法|正体が見えないから、想像の中で膨らむ

メンタル・気持ちの整え方

「仕事に行きたくない。でも、何が嫌なのかと聞かれると、うまく答えられない」

「特別つらいことがあったわけでもないのに、朝になると気が重い」

「理由も分からず行きたくないなんて、自分は甘えているのかな」

原因が分からないまま、「行きたくない」だけが毎朝押し寄せてくる。
理由が見えないから対処のしようもなく、「なんとなく全部が嫌」という重たい霧の中にいるような気分になります。

でも、その霧には正体があります。

問題は嫌なことの「量」ではなく、嫌なことの正体が見えていないことなのです。

私自身、原因のわからない「行きたくない」を、ノートに書き出すことで乗り越えた経験があります。

今日は一つだけ、やり方を変えてみてください。

嫌なことを「3つだけ書き出して、印をつける」だけでいい

やり方は、2ステップです。

  • 「行きたくない」と感じた朝、頭に浮かぶ嫌なことを思いつくまま3つ書き出す
  • そのうち「今日、実際に起こるもの」だけに印をつける

例えば「午後の定例会議」「先輩の機嫌」「たまった資料作成」と書いて、今日あるのが定例会議だけなら、印は1つです。書く場所はスマホのメモでも、手帳の隅でも構いません。

「書き出したくらいで、何が変わるの?」

そう思うかもしれません。でも、これには理由があります。

理由① 心配事の9割は、実際には起こらない

ペンシルベニア州立大学の研究では、不安症の治療を受けている人に心配事を記録してもらい、それが実際に起きたかどうかを追跡しました。その結果、記録された心配の約91%は、実際には起こらなかったのです。

これは不安が強い人を対象にした研究なので、誰にでも同じ割合が当てはまるわけではありません。それでも、「心配は実際より多く見積もられる」という方向は変わらないでしょう。

「全部が嫌」という朝の気分の大部分は、今日起こらないことへの不安が膨らんだもの。書き出して「今日あるもの」に印をつけると、本当に向き合うべき相手は1つか2つしかないことに気づきます。

理由② 人は現実よりも、想像の中で苦しんでいる

古代ローマの哲学者セネカは、こんな言葉を残しています。

「我々は現実よりも、想像の中で多く苦しむ」

2000年前から、人間は同じことで悩んできました。頭の中だけで「行きたくない」を抱えていると、想像はどこまでも膨らみます。紙に書き出した瞬間、悩みは「頭の中の巨大な霧」から「紙の上の3行」に変わるのです。

理由③ 正体が分かれば、対処が打てる

「なんとなく全部が嫌」には対処できません。でも「午後の定例会議が嫌」なら、話は別です。

会議が嫌なら、発言することを朝のうちに1つ準備しておく。苦手な人が原因なら、今日は物理的に距離を取る。作業が原因なら、最初の15分だけ手をつけてみる。

嫌なことは、特定された瞬間に「感情の問題」から「段取りの問題」に変わります。段取りの問題なら、あなたはもう対処のやり方を知っているはずです。

私の場合|ノートに書き出したら、「そこまで嫌なことはない」と気づいた

私にも、原因がはっきりしないまま気が重い朝がありました。頭の中がモヤモヤして、会社への足取りがとにかく重い。何が嫌なのかと聞かれても、うまく言葉にできませんでした。

そんなとき試したのが、頭に浮かんだ嫌なことをノートに書き出すことでした。すると、書いているうちに「あれ、そこまで嫌なことはないな」と気づいたのです。頭の中では「全部が嫌」に感じていたのに、実際に書き出して数えてみると、たいした数ではありませんでした。

書き出して内容を分解すると、不思議と冷静になれました。モヤモヤがスッキリして、「これはこう対処すればいい」と解決策まで浮かんでくる。頭の中で抱えているうちは巨大な霧だったものが、紙の上では、意外と小さな問題の集まりだったのです。

朝の5分、3行で憂鬱に飲み込まれなくなる

「でも、自分の気持ちと向き合うのは、ちょっと怖いな」

そう感じるかもしれません。だからこそ「3つだけ」なのです。全部と向き合う必要はありません。朝の5分、メモに3行。それだけで十分です。

正体をつかめるようになったあなたは、朝の憂鬱に飲み込まれる代わりに、「今日の相手は定例会議だけだな」と冷静に眺めています。印が一つもつかない日もあるでしょう。「今日、実際に嫌なことは何もない」と分かるだけでも、家を出る足取りは軽くなります。

漠然とした「行きたくない」が、「これにだけ備えればいい」に変わる。同じ一日でも、霧の中を歩くのと、相手が見えているのとでは、疲れ方がまったく違います。

正体が見えないから、想像の中で膨らむ

原因の分からない「行きたくない」は、あなたの甘えではありません。嫌なことの正体が見えないまま、想像の中で膨らんでいるだけです。

明日の朝、気が重かったら、嫌なことを3つ書き出して、「今日実際にあるもの」に印をつけてみてください。

その3行が、重たい霧を「対処できる悩み」に変えてくれます。

参考文献

  • LaFreniere, L. S., & Newman, M. G. (2020). Exposing worry’s deceit: Percentage of untrue worries in generalized anxiety disorder treatment. Behavior Therapy, 51(3), 413–423. doi:10.1016/j.beth.2019.07.003
  • Pennebaker, J. W., & Beall, S. K. (1986). Confronting a traumatic event. Journal of Abnormal Psychology, 95(3), 274–281. doi:10.1037/0021-843X.95.3.274
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