成長を実感できないときの対処法|積み重ねは、記録して初めて見える

メンタル・気持ちの整え方

毎日忙しく働いているのに、ふと立ち止まると「自分は成長しているのだろうか」と不安になる。同期はどんどんできることが増えているように見えるのに、自分だけこのまま変わらないんじゃないか――そんな気持ちになっていませんか。

私も新卒の頃、まさにその気持ちの中にいました。周りはどんどん成長しているように見えるのに、自分は何も変わっていない気がする。今思えば、「何をもって成長とするか」という物差しを持たないまま、雰囲気だけで自分を測っていたのだと思います。

「同期は成長していて、できることが増えてる」「自分は成長している実感がない」「このまま成長できないのか不安になる」。そう感じるのは、あなたが成長していないからではなく、成長がゆっくりで気づきにくいだけかもしれません。「これなら自分の成長を感じられそう」と思える、シンプルな習慣があります。

週の終わりに、できるようになったことを1つ書く

やることはシンプルです。週の終わりに「今週、前より少しでもできるようになったこと」を1つだけメモに残してください。

「今週は初めて一人で会議の進行ができた」「前は時間がかかっていた資料作成が早くなった」――どんなに小さなことでも構いません。1つだけ、書き留める。それを毎週続けていくだけです。

人を動かすのは大きな成功ではなく、小さな進捗

理由①:進捗の法則

心理学者テレサ・アマビールの研究に「進捗の法則」というものがあります。人のモチベーションに最も強く影響するのは、大きな成功ではなく、小さな進捗を実感できることだ、というものです。

大きな変化は滅多に起きません。しかし小さな進捗であれば、意識して探せば毎週見つかります。それを見逃さずに拾い上げることが、実感の積み重ねにつながります。

理由②:積小為大

江戸時代の思想家、二宮尊徳は「積小為大(小を積んで大と為す)」という言葉を残しています。小さなことを積み重ねることこそが、大きな成果につながるという教えです。

「小さすぎて意味がない」と思うようなことでも、積み重ねれば確かな成長の跡になります。書き留めるという行為そのものが、積み重ねを形にする作業なのです。

理由③:小さな変化は記憶から消えていく

人は、日々のちょっとした変化をすぐに忘れてしまいます。例えば半年前にできなかったことも、今はできて当たり前になっていると、「できなかった頃」の記憶自体が薄れてしまうのです。

だからこそ、記録が必要になります。書き留めておけば、後から見返したときに「こんなに変わっていたのか」と気づける。記憶に頼らず、事実として積み重ねを残すことが、実感を取り戻す一番の近道です。

私の場合|タスクごとの仕事メモが、「成長の物差し」になった

当時の私がやっていたのは、この記事の解決策と少し形が違います。週1回ではなく、タスクごとに「どんな仕事をしたか」をメモに残していました。目的も、最初は成長の記録というより、ただの仕事の記録でした。

効果を実感したのは、ふとした時にそのメモを見返した瞬間です。

「あの時は、ここまでしかできなかったのか」

数ヶ月前の自分が、今なら半分の時間でできる仕事に苦労している。当時は必死だった仕事を、今は当たり前にこなせている。読み返すまで、自分ではまったく気づいていませんでした。記憶の中の自分は「ずっと変わっていない」のに、記録の中の自分は、確かに変わっていたのです。

形は何でもいいのだと思います。週1回でも、タスクごとでも、書き留めてさえあれば、それはいつか「成長の物差し」になります。雰囲気で自分を測っていた私に足りなかったのは、能力ではなく、この物差しでした。

「去年と同じことをしている」が消える

——今までのあなた

昼休み、同期の話が耳に入ってくる。

「俺、来月から新しいプロジェクト任されることになってさ」

「すごいじゃん、もうリーダーかよ」

「おめでとう」と笑いながら、胸の奥がざわついている。

「(それに比べて自分は、去年と同じことをやってる気がする……)」

帰り道、ふと考える。この1年で、自分は何ができるようになったんだろう。

「(……思い出せない。何も変わってないんじゃないか)」

面談で「最近成長できた点は?」と聞かれても、言葉に詰まる。

「(何も変わってない。このままでいいのかな……)」

根拠もなく不安になり、根拠もなく落ち込む。それは、測る物差しを持っていないからです。

——週1つ書き留め始めた、これからのあなた

金曜の終業前、手帳を開いてひとこと書く。

「今週:問い合わせ対応、先輩に聞かずに最後まで返せた」

「(こんな小さいことでいいのかな……)」

最初は半信半疑。それでも、毎週1行だけ書き続ける。

10週間後のある金曜、ふとページをめくって、手が止まります。

「(あれ……2ヶ月前の自分、これができなかったのか)」

「(先輩に聞いてばかりだったのに、今は後輩に聞かれる側になってる)」

同期の昇進の話を聞いても、前ほど胸がざわつかなくなっている自分に気づく。

「(同期は同期。自分は自分で、ちゃんと進んでる)」

成長の実感は、他人と比べても手に入りません。過去の自分と比べたときに、初めて手に入ります。その比較を可能にするのが、あなたが書き溜めた1行の記録です。

積み重ねは、記録して初めて見える

成長を実感できないときは、週の終わりに「今週できるようになったこと」を1つだけ書き留めてみてください。小さな進捗こそが、モチベーションを支えます。積み重ねは、記録することで初めて見える形になります。

参考文献

  • Amabile, T., & Kramer, S. (2011). The Progress Principle. Harvard Business Review Press.(邦訳『マネジャーの最も大切な仕事』英治出版)
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