責任の重い仕事を任されて不安なときの対処法|今日できる、最小の一歩に分解する

仕事の進め方・タスク管理

「なんで自分がやらないといけないの」

「失敗したらどうしよう、怖くて手が動かない」

「本当に自分にできるのか、全然自信がない」

「重すぎる仕事を押しつけられた気がして、正直しんどい」

「失敗したら終わりだ、と思うと、なかなか前に進めない」

突然、これまでより責任の重い仕事を任された。嬉しい気持ちもあるけれど、それより不安やプレッシャーの方がずっと大きい。

そんな気持ちを抱えたまま、一人で抱え込んでいませんか?

私にも、その不安に押しつぶされそうになった経験があります。初めてプロジェクトマネージャーを任されたときです。何をやればいいのか、どのレベルまでやればいいのか。社内に体系的なやり方が整っていたわけでもなく、すべてが手探りでした。

責任の重い仕事を前にして怖くなるのは、あなたが弱いからではありません。それだけ真剣に向き合っている証拠です。

今日は一つだけ、やり方を変えてみてください。

仕事を「小さなステップ」に分解するだけでいい

「分解したってプレッシャーはなくならない」

そう思うかもしれません。でも、これには理由が3つあります。

理由① 人は「全体」を見るから怖くなる。「次の一歩」だけ見れば動ける

責任の重い仕事が怖いのは、「全体の重さ」を一度に感じているからです。完成までの道のりを一気に想像すると、誰でも足がすくみます。

心理学者のアルバート・バンデューラは「自己効力感」の研究でこう述べています。

「大きな目標は、達成可能な小さなステップに分解することで、行動が生まれる」

仕事全体を一つのタスクとして見るのをやめて、「今日やること」だけに絞ってみてください。

  • まず関係者をリストアップする
  • まず情報収集だけをする
  • まずたたき台を1ページだけ作る

「全体を終わらせる」ではなく「次の一歩だけ進む」。それだけで、止まっていた手が動き始めます。

理由② プレッシャーは、成長が起きているサインだ

スタンフォード大学の心理学者キャロル・ドゥエックの研究では、「困難な課題に挑んだ人ほど、能力が大きく伸びる」ことがわかっています。

さらに教育心理学者のヴィゴツキーは「今の自分には少し難しいくらいの課題に取り組むとき、人は最も大きく成長する」と述べています。

つまり、今あなたが感じている居心地の悪さは、成長が起きているサインです。

プレッシャーを「自分には向いていない証拠」と受け取るか、「成長のサイン」と受け取るか。その解釈の違いが、前に進めるかどうかを左右します。

理由③ 「任された理由」は、必ず存在する

「なぜ自分が選ばれたのか」と疑問に思うかもしれません。でも、理由のない抜擢はありません。

上司はあなたのこれまでの仕事ぶりを見て、「この人なら任せられる」と判断しています。あなたが感じている不安は、「自分を過小評価している」ことから来ていることがほとんどです。

「自分には無理かもしれない」ではなく、「任された理由が必ずある」と自分に言い聞かせることで、一歩踏み出す勇気が生まれます。

怖いのは仕事の重さではなく、責任の範囲が見えないこと

仕事を分解する前に、もう一つだけ分解しておくと効くものがあります。仕事ではなく、「責任」そのものです。

責任の重い仕事が怖いとき、その怖さの正体は作業の量ではないことがほとんどです。「どこまでを自分が背負うのか」が見えていないから、最悪の事態を全部ひとりで引き受ける前提で想像してしまいます。

一度、任された仕事をこの3つに仕分けてみてください。

  • 自分で決めていいこと(作業の順番、資料の作り方、自分の時間の使い方)
  • 相談してから決めること(スケジュールの変更、他部署への依頼、追加の費用)
  • 自分では決められないこと(予算そのもの、人員の増減、契約の内容)

書き出すと、たいてい3つ目がかなりの数を占めます。つまり、あなたがひとりで背負っているつもりだった責任の多くは、そもそもあなたの手の中にありません。

私が初めてプロジェクトマネージャーを任されたときも、いちばん困ったのはここでした。責任の所在が曖昧で、目の前の判断を自分で決めていいのか、上司に相談すべきなのかが分からなかったのです。そこで最初は、迷ったものを上司に確認しました。すると、次から同じ種類の判断は自分でできるようになりました。

確認は一回きりのコストですが、迷いは毎回かかるコストです。

私の場合|初めてのPMは、「分解」で乗り切った

その手探りの中で私がやったことは、結局この記事の解決策と同じでした。順番はこうです。

まず、やることの全体を把握する。次に、プロジェクトの目的に対してタスクがきちんと流れるかを確認する。そして最後に、タスクを実際に手を動かせるサイズまで細分化する。

大きな塊のままだと「できるかどうか」ばかり考えてしまいますが、細かく分解してしまえば、目の前にあるのは「今日やる小さな作業」だけです。やることが明確になった瞬間、不安に使っていた頭のリソースが、作業への集中に切り替わりました。

もちろん、プロジェクトはきれいには進みませんでした。トラブルも起きました。それでも、分解したステップがあったから「どこで詰まっているか」がすぐわかり、立て直して最後まで乗り切ることができました。

初めての大役は、気合いでは乗り切れません。私を運んでくれたのは、分解した小さなステップの積み重ねでした。

それでも「やりたくない」と思うときは

ここまで読んでも、「そもそもやりたくない」という気持ちが残っているかもしれません。その気持ちは、無理に押し込めなくて大丈夫です。ただ、中身を2つに分けてみてください。

① やり方も、ゴールも、目的もわからない

私が「やりたくない」と感じたときの正体は、これでした。指示は受けたものの、どうやればいいのか、どこまでできれば終わりなのか、そもそも何のためにやるのかが分からない。分からないから動けず、動けないから、やりたくない。

これは、やる気の問題ではありません。情報が足りていないだけです。そして情報は、聞けば手に入ります。「この仕事の目的は何ですか」「どこまでできていれば合格ですか」。この2つを確認するだけで、やりたくない気持ちの大半は輪郭を失います。

何から手をつけるかが見えないままなら、仕事の進め方がわからないときの対処法もあわせて読んでみてください。

② 責任だけが重くなって、割に合わない

もう一つは、責任は増えたのに、裁量も評価も変わらないというものです。これは分解では解けません。気持ちの持ち方ではなく、伝える問題だからです。自分が抱えている量を見える形にして上司に渡す方法は、自分だけ仕事量が多くて不公平なときの対処法にまとめています。

なお、どう分解しても明らかにひとりでは終わらない量だったり、眠れない・体調に出ているという段階なら、それは根性や工夫の話ではありません。仕事の配分の問題なので、配分を変えられる立場の人に早めに相談してください。この記事で扱っているのは、あくまで「やればできるはずだが、重くて足がすくむ」段階の話です。

失敗したら何が起きるのか、先に書き出しておく

「失敗したらどうしよう」が怖いのは、失敗の中身が曖昧なまま、「終わり」という言葉とだけ結びついているからです。

一度、書き出してみてください。この仕事で失敗したら、具体的に何が起きるのか。

  • 手戻りが出て、作り直しになる
  • 納期が数日ずれる
  • 関係者に謝る場面ができる

たいていは、この範囲に収まります。書き出した瞬間に、「終わり」だったものが「対応できること」に変わります。

そして、本当に取り返しがつかなくなるのは、失敗そのものではありません。失敗をひとりで抱えて、報告が遅れることです。

先ほど「トラブルは起きたけれど立て直せた」と書きました。その立て直しの実態は、分解だけではありません。問題が起きたら、そのつど関係者に情報を共有していたことです。共有したおかげでアドバイスをもらえたり、対応を手伝ってもらえたりして、結果として乗り切ることができました。ひとりで抱えていたら、同じようにはいかなかったはずです。

情報を出した瞬間に、その問題は「自分だけの問題」から「チームの問題」に変わります。切り出し方に迷うなら、上司に相談できないときの対処法も参考にしてください。

ファイルを開いて、閉じるだけの日が終わる

——今までのあなた

任された仕事のことを考えるたび、胸の奥が重くなる。

「(失敗したらどうしよう……。なんで自分なんだ)」

着手しなきゃと思ってファイルを開いても、何から手をつければいいかわからず、また閉じる。

「(今日も、結局進まなかった……)」

寝る前にふと仕事のことを思い出して、目が冴えてしまう。

——小さな一歩に分解した、これからのあなた

朝、机に向かって、分解したリストの一番上を見る。

「(今日はまず、関係者に話を聞くだけでいい)」

全体の重さは、いったん忘れていい。目の前の一歩だけなら、確実に踏み出せる。

一歩進むたびに、「案外やれているな」という実感が積み重なっていく。

数ヶ月後、振り返ったとき、あなたはこう思うはずです。

「(あんなに怖かった仕事が、もう半分終わってる)」

プレッシャーは消えません。でも、プレッシャーを抱えたまま前に進む方法は、確かにあります。

今日できる、最小の一歩に分解する

責任の重い仕事を任されて不安なのは、あなたが弱いからでも、力不足だからでもありません。

今日、まず一つだけやってみてください。

その仕事を、「今日できる最小の一歩」に分解する。

それだけで、止まっていたあなたの足が動き始めます。

参考文献

  • Bandura, A. (1977). Self-efficacy: Toward a unifying theory of behavioral change. Psychological Review, 84(2), 191–215. doi:10.1037/0033-295X.84.2.191
  • Blackwell, L. S., Trzesniewski, K. H., & Dweck, C. S. (2007). Implicit theories of intelligence predict achievement across an adolescent transition. Child Development, 78(1), 246–263. doi:10.1111/j.1467-8624.2007.00995.x
  • Vygotsky, L. S. (1978). Mind in Society: The Development of Higher Psychological Processes. Harvard University Press.
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